2017年の夏。
あの頃の私は、レトロゲームに特別な興味を持っていたわけではなかった。
そもそも、「レトロゲーム」という言葉自体、当時は知らなかったと思う。
ゲームは子どもの頃から好きだったし、大人になってからもまったく遊ばなくなったわけではない。子どもの頃ほど頻繁ではなかったものの、当時はニンテンドー3DSで『モンスターハンターダブルクロス』を遊ぶことがあるくらいだった。
とはいえ、それはあくまで暇つぶし程度。趣味と呼べるほど熱中していたわけではなく、ゲームは私の生活の中心にはなかった。
そんな私に転機が訪れたのは、友人からの何気ない一言だった。
「今度、一緒にテニスでもやらない?」
お酒を飲みながら他愛もない話をしていたときに誘われ、「久しぶりに体でも動かそうか」と思った。
まずはラケットを用意しよう。
新品を買うことも考えたが、軽く始めるには少し値段が高い。
「中古で何かいいものはないかな。」
そう考えた私は、インターネットで中古のテニスラケットを探し始めた。
そのとき初めて本格的に使ってみようと思ったのが、メルカリだった。
メルカリというサービスの存在は、それ以前から知っていた。
テレビやインターネットで名前を見聞きすることはあったものの、自分にはあまり縁のないサービスだと思っていた。個人同士で中古品を売買できる場所――その程度の認識しかなく、実際に利用したことは一度もなかった。
だから、中古のテニスラケットを探すために初めてアプリを開いた日は、自分にとって小さな一歩だった。
検索してみると、思っていた以上にたくさんの商品が並んでいる。
「こんなものまで売っているんだ。」
そんな驚きを覚えながら、いろいろな商品を眺めていた、そのときだった。
ふと目に留まったのは、ゲームボーイ、スーパーファミコン、そしてゲームボーイアドバンスのソフトや本体だった。
一瞬、時間が止まったような気がした。
「ああ、懐かしい。」
子どもの頃、夢中になって遊んだゲームたち。
当時は当たり前のように遊んでいたはずなのに、大人になってからその姿を見る機会はほとんどなくなっていた。
画面に並ぶパッケージを見ているだけで、あの頃の記憶が次々によみがえってくる。
その時はただ懐かしさに浸っていただけだった。
しかしこれこそが、私をレトロゲームの世界へと導く最初の一歩だったのだと思う。